橋ってなぁに?
「アメリカン・カレッジ・ディクショナリー」等によると、ブリッジとは次のようになっています。
- 河川・川・道路・線路などをまたぎ、通行するための構造物。
- 船橋、すなわち船舶の上甲板にあって、航海中、船舶の航海・運用・通信などの指揮に当たるところ。
- 鼻梁、もしくは鼻背
- 歯橋
- 弦楽器の柱(じ)、駒
- 眼鏡のブリッジ
- 電橋回路、もしくはブリッジ回路
- 鉄道軌道の真上にある信号機の架台
- 溶鉱炉中に炉の隅にある耐火煉瓦の突出物
- ビリヤードのキュー架
- トランプ遊びの一種
- 橋渡し、すなわち仲介すること
- レスリングの防御姿勢の一つ
ブリッジに共通した概念は、大きく二つに分けられます。共通点は「高い」ということ。
(1)かけ渡すこと
1、4、6、7、11、12、13
(2)平らなところよりもひときわ高くなった台状の部分
2、3、5、8、9、10
では(1)と(2)の共通点は何なのでしょうか。ものをまたいで橋を架けるときは、どうしても高くなければなりません。市街地の橋では目立たないものも多いのですが、一般に橋は周辺よりも高く、遠くからでも目立つことがすくなくありません。特に山などに登って下界の景色を眺めますと、橋はよく目立ちます。したがって、ブリッジが(1)と(2)という、一見関係なさそうな二つの概念を合わせ持っていても不思議はないように思わえます。
日本は昔から「はし」という話言葉は使用されていましたが、書き言葉はありませんでした。そこで、中国から伝わった漢字をいろんな意味に使い分け、それが現在に伝わっているようです。
昔、「はし」といっても、現在の橋、端、階、梯、箸など、いろんな意味をもっていました。確かにワープロで「はし」と打てば、これらの字が次々と変換されてでてきます。
講談社「日本語大辞典」では「橋」は水を渡るハシ、「梯」はハシゴ、「階」はキザハシ、「陛」は階のこと。「梁」ははし、橋の横木などをいう、となっています。
また大修館「新漢和辞典」では「橋」は、ブリッジのところで述べた(2)と似て。高い(喬い)という意味も持ち合わせています。「橋松」はその一例です。
また角川書店の「新字源」には「木」と、「高くあがる」という意と「きょう」という音を示す「喬」とからなり、はしつるべの横木、転じて「かけはし」の意を表すとあります。そのほか、「はし」は、ものごとの起点でも終点でもあり、また、一つの終点から次に新しく始まる点へと継ぐもの、さらには、彼岸と此岸(しがん)の間をも意味していたという人もいます。
外国語では
ドイツ語では橋のことをブリュッケ、フランス語ではポン(pont)、イタリア語・ポルトガル語ではポンテ(ponte)、スペイン語ではプエンテ(puente)といいます。ローマ教皇popeのことをラテン語でpontiffと呼ぶのは、「橋pontiを造るfex」に由来していると教えてくれた人がいます。橋を架けるのが聖職者の仕事だったということに符号します。
(講談社 橋のなんでも小辞典より)
(追記)
橋の中のロマン(川田忠樹著)でも「橋を架けるという行為を神聖視する思想は、高床式の水上生活、テラマールの時代に起源が求められて、それは起源前1000年近くまで遡りうるもののようです」とその歴史を記載されている。