「橋の日」の提唱によせて
毎年8月4日に全国各地で行われています「橋の日」のイベントを提唱し、その推進拡大のため全国を活動中の湯浅です。
私は、宮崎県北部に位置する水の郷、延岡市で生まれ育ちました。自宅近くを五ヶ瀬川の派流、大瀬川が流れていたこともあり、川は私にとって子どもの頃の大切な遊び場となりました。
いまでは50年程前の懐かしい思い出となりましたが、近所の仲間と魚を捕ったり泳いだりと、毎日カッパのように遊んでいました。当時の川は、きれいな水が豊かに流れ、鮎などたくさんの魚が生息する楽園でした。そこには、台風のたびに壊れるひ弱な木造の大瀬橋と、びくともしない頑丈なコンクリート造の安賀多橋が架かっており、その橋も子どもたちの格好の遊び場となっていました。
このような環境で育った私は、年を重ねるごとに“橋への熱い思い”と“感謝の気持”が芽生えてきたように思います。木造の大瀬橋が流され、町が分断されたときの不便な経験に、改めて橋の存在の大きさとありがたさを子ども心に教えられました。
自身の体験のもと、近年の社会や環境の変化に、川と橋に関心を持つ必要性を感じ「郷土のシンボルである河川とそこに架かる橋を通して、ふるさとを愛する心の高揚と河川の浄化を図ろう」と1985年9月に「橋の日」を提唱、1994年8月4日には「橋の日」が日本記念日協会から記念日として認定されました。
「橋の日」の活動をする中で、全国には歴史的・文化的に優れた橋、最新技術を駆使した近代的な橋など“名橋”の多さに驚かされています。橋には、木橋・石橋・コンクリート橋・鋼橋等さまざまな種類があり、水路にひっそり架かる小さな橋から、海を越えて架かる雄大な長大橋までその規模もさまざまです。
橋は生活と文化を支える…と一般的に言われますが、橋には浪漫があって目に見えない何かがあるように思えます。それぞれの人にそれぞれの思いの橋があろうかと思いますが、8月4日の「橋の日」には身近な橋に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか…。
2006年10月1日